ソフトウェア開発会社の新入社員教育
新入社員教育のカリキュラムとして、社内用業務アプリケーションソフトの開発が行われた。直感的には、本カリキュラムの目標は下記のようなものであるだろうか。
- ソフトウェア設計手法の習得
- プログラミング技術の習得
- テスト手法の習得
しかし、それでは学生が勉強をすることと変わり映えがないと思う。やはり学生と社会人との大きな違いはお金なのではないか、と思う。学生は”お金を払って”勉強する。社会人は仕事の成果の対価として”お金を受け取る”という点である。
実際に研修が終わり、ソフトウェアも無事リリースされ、動作も特に問題ない。よかった。。。で、終わらずにさらに一歩踏み込んでほしいと思う。具体的には、下記のようなことを問いたい。
- その製品をあなたはお金を払って買いますか?
- 5人×3ヵ月=15人月。ひとり分の給与を20万円とすると、300万円。
- 会社としては、利益が必要。300万円*120%=360万円。
- あなたは買いますか?なぜ買わないのですか?
- 画面仕様書1枚書くのに1時間かかりました。
- 給与20万円/月 ÷ 20日 ÷ 8時間 = 1250円/時間
- そのドキュメントは1250円を払うだけの価値はありますか?払いたいと思いますか?なぜ払わないのですか?
実際には企業向けなので、この価格では個人では当然買わない(買えない)とは思う。しかし、この金額が動くのだということを意識して欲しいと思う。
さらに、どの状態をもってプロジェクト成功とするのかを意識してもらいたいと思う。
- プロジェクト成功の条件
- その製品を利用することによって、今までの業務より効率的になったかどうか。
- 今までの手作業の業務と比べて、システム化してよかったですか?もっと手間(システムメンテ・システム利用のための教育コストなど)が増えましたか?
- 新システムはどの程度利用されていますか?
たとえソフトウェアが正しく動作したとしても、ソフトウェア導入により逆に手間が増えたのならプロジェクト失敗である。使えないソフトウェアとなり、開発に投資した費用は無駄になる。
ソフトウェアは作れば良いのではない。作らなければならなくなった状況が間違いなくある。目的を常に意識し、明確化することで、品質は格段に上がっていくと思う。
是非、新入社員の方々には一つ一つの作業の目的を掘り下げて考えることを意識して行動してもらいたい。
かくいう私自身もこういった機会に自らの行動を顧みて、しっかりとしたお手本となるように行動していかなければと思う。